
東京目黒の工務店、江中建設です。
私たちが設計事務所の案件を施工する場合、当然ながら設計者が作成した設計図書があります。
そこには、標準仕様書や特記仕様書、構造図などがあり、材料や納まり、施工方法について様々な基準が示されています。
そのため、ともすると工務店の仕事は「渡された設計図書に従って施工を管理すること」になりがちです。
もちろん、設計者の意図を正しく理解し、設計図書どおりに施工することは、施工者として当然の責務です。
しかし、それだけでよいのだろうか、と私たちは考えます。
建てた後まで向き合うのが工務店
建物が完成し、お客様がお住まいになった後も、その建物と長く付き合っていくのは私たち工務店です。
何か不具合があれば現場へ伺い、原因を調べ、補修し、そして次の建物では同じことを繰り返さないよう施工方法を見直していく。
そうした経験を一つひとつ積み重ねていけることこそ、工務店の強みではないでしょうか。
だからこそ、設計図書に従うだけではなく、私たち自身が施工者としての基準を持つことが大切だと考えています。
設計者と施工者が、それぞれの知見を持ち寄る
ここでいう「自分たちの基準を持つ」ということは、設計図書に異を唱えたり、設計者の考えを否定したりすることではありません。
むしろ、設計者が持つ設計上の意図や知見と、施工者が現場で積み重ねてきた施工上の経験や、その後の維持管理を通じて得た知見を持ち寄り、より良い建物をつくるために意見を交わしていくことだと考えています。
施工者だからこそ分かる納まりや施工性があり、完成後の建物と長く向き合ってきたからこそ分かることもあります。
そうした知見を設計者へフィードバックすることもまた、設計と施工が協働して建物をつくっていく上で、大切な役割の一つではないでしょうか。
設計者と施工者が、それぞれの立場と専門性を尊重しながら意見を交わし、その建物にとってより良い方法を考えていく。
そして、お客様に安心して、できるだけ長く住み続けていただける建物を残していく。
それが工務店として果たすべき責務の一つだと考えています。
令和2年、「標準施工手引書」をつくりました
その考えから、令和2年に「木造住宅工事 標準施工手引書」の初版を作成しました。
しかし、基準というものは、一度作ったら完成するものではありません。
実際の現場で運用してみれば、
- ここはもう少しこうした方がよい
- この納まりでは実際の現場に対応しにくい
- 新しい材料や工法に合わせて考え直した方がよい
といった課題が必ず出てきます。
また、材料や工法だけでなく、法令や社会情勢、建設業を取り巻く環境そのものも変化していきます。
だからこそ、標準を持つことと同じくらい、標準を見直し続けることが大切なのだと思います。
6年の経験を反映した、第2版
初版の作成から6年。
現場で実際に施工に携わってきた社員や職人の意見を集め、これまでの経験や改善点を反映し、このたび令和8年版となる「木造住宅工事 標準施工手引書 第2版」が完成しました。
これからは、この第2版を私たちの新たな基準として、施工を進めていきます。
もちろん、第2版も完成形ではありません。
現場で使い、検証し、必要であればまた変えていく。
そして、その過程で得られた知見を社内だけに留めず、必要に応じて設計者や職人の皆さんとも共有しながら、さらに良い施工方法を考えていく。
その繰り返しによって、私たち自身の施工品質を少しずつ高めていくことが重要だと思っています。
2冊の標準施工手引書
江中建設として大切にしたいもの――
建物をきちんとつくり、お客様に安心して長く住んでいただくこと――は変わりません。
その変わらない目的を守り続けるために、私たちの技術や基準、仕事の進め方は、これからも変わり続けなければならない。
今回の「木造住宅工事 標準施工手引書」の改訂も、まさにその一つだと考えています。